
【第五回】コンサルティング会社サバイバル
典型的な失敗例はどのようなものでしょうか。新卒入社を例に見ていきましょう。紹介するのは、新卒入社後、最初のプロジェクトで評価が悪く負のスパイラルにはまるケースです。
戦略コンサルタントは、大体3~4か月間のプロジェクトをこなします。しかし、評価が悪い場合、プロジェクトが終了するよりも早くプロジェクトから外されます(このことを業界内では、“リリースする”と言います)。
早期リリースされると、気持ちの面でも印象の面でも、次のプロジェクトでよいスタートを切りづらくなり、思ったように能力を発揮できません。
そして、早期リリースを繰り返したのち、最終的に会社をやめていきます。自分からやめなくとも、3年以内に退職・異動勧告をされます。こうした3年ごとに昇格する必要がある制度「Up or Out」については連載で何度も話したとおりです。
最初のプロジェクトで生き残るには
それでは、最初のプロジェクトで生き残るためのポイントはなんでしょうか。
任された仕事の納期を遵守する、先輩と同じレベルの成果物を出すなどに尽きますが、そのために特に押さえておくべきポイントは「自発的に学ぶ姿勢をもつ」、および「自分の価値を客観視する」です。
押さえておくべきポイントの1つ目は自発的に学ぶ姿勢を持つことです。
コンサルティング会社では、研修を除いて、仕事を丁寧に教えられることは稀です。これは、仕事を丁寧に教えるインセンティブがない組織構造となっていることが背景にあります。
1)「自発的に学ぶ姿勢を持つべき」理由
まず、スタッフレベルの入れ替わりが激しいため、「使えない」と判断されたスタッフは早期にプロジェクトから外されてしまい、そのスタッフに教えた時間は無駄になります。
さらに、教えたスタッフと次のプロジェクトで一緒にならない場合も多く、教える側に直接的なメリットがありません。
また、全員が忙しく余裕がありません。任せた仕事をスタッフができなければ、最悪、自分で引き取ればよいと思っているマネージャーも多く、別の「使える」スタッフが入ってくるまでの間、つなぎで対応すれば良いと思っています。
もちろん、頼んだ作業をスタッフが終えてくれないとマネージャーも困るので、最低限必要な情報は与えられます。
しかし、それ以上のことは自発的に質問しない限り、詳しく説明されません。このような状況下でも、技術を上司や先輩から盗む自発性が必要です。
2)自分の価値を客観視する
評価者であるプロジェクト・マネージャーは、「予算内で無事にプロジェクトを完了させる」という責任があります。よって、スタッフに対しても、与えた仕事を期限(予算内)で終えられるか否かで評価します。
しかしながら、上司と異なる意見ばかり主張する新人もいます。自分をアピールすることも重要ですが、行き過ぎた自己主張はチームワークを乱します。そのような場合、「使いづらい」「工数をムダにしている」と思われ、プロジェクトから外される可能性が高まります。
もちろん自分の意見を発信することは大事ですし、それがコンサルティング会社の仕事ですが、まずは自分に求められていることを客観的に把握し、求められる仕事を終えることを優先するべきです。
3)同じPMと長く仕事すると昇格しやすい
プロジェクト・マネージャーからすると、過去一緒に仕事をした経験があるスタッフのほうが作業品質を予測しやすいため、全く知らないスタッフと仕事するよりもストレスが少ないです。
従って、気に入ったスタッフであれば継続してプロジェクトに入って欲しいと考えます(業界内では、“アサインする”と言います)。継続して同じスタッフに働いてもらうためには、何か見返りを提供する必要があります。それが評価および昇格というわけです。
ただし、一部には、このご恩と奉公の関係が成立しないマネージャーもいるため、そのような上司とは長く仕事をしない処世術も合わせて重要ではあります。
早期の昇格を望む人は、興味でプロジェクトを選ぶのではなく、いかに最初のプロジェクト・マネージャーに気に入られるかが重要でもあります。
引用元
https://news.nicovideo.jp/watch/nw4857888
やはりどの業界もそうですが、長くやればやるほどかなりの実践と実績が付きますので、負けじと同じことを繰り返していくことが一番下と思います。