
100業種・5000件以上のクレームを解決し、NHK「クローズアップ現代+」、日本テレビ系「スッキリ!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などでも引っ張りだこの株式会社エンゴシステム代表取締役の援川聡氏。
近年増え続けるモンスタークレーマーの「終わりなき要求」を断ち切る技術を余すところなく公開した新刊『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』に需要が殺到。続々大重版が決まり、発売3ヵ月あまりで現在3万5000部と異例の売れ行きとなっている。
本記事では、ありえない「ネットクレーム」の特徴と対策を特別公開する。(構成:今野良介)
● 12歳の少年が「クレーマー」になった
クレームがSNSで拡散するかもしれないという恐怖や不安は、クレーム担当者にとって非常に大きなプレッシャーになります。
多くの場合、クレームの主は得体が知れない存在です。そもそも、クレームの実態(瑕疵の有無)があやふやなこともあるでしょう。こうした宙ぶらりんの状況のなかで、クレーム担当者は頭を痛めています。
ネットを利用したクレームはずいぶん前からありました。インターネットの登場によって一般市民は強力な情報発信の手段を手に入れ、以前とは比べものにならない圧力を組織にかけることができるようになったからです。「腕力の強い弱者」の誕生です。
もうずいぶん前のことになりますが、こんな事件がありました。
------お菓子メーカーの事例--------
新年度を間近に控えた3月、顧問先のお客様相談室に一通のメールが届いた。
「A市に住んでいる者だ。お菓子の賞味期限が切れていた。もう食べた。誠意を見せろ。3万円よこせ。なんとかしなければ、ネットで悪口を流すし、TVや週刊誌、マスコミや消費者庁に言っちゃうぞ」
担当者から相談を受けた私は早速、お詫びの言葉とともに、詳しい事情を聞かせてほしいと返信した。
すると、なにやらたどたどしい文面のメールが届いた。
私は「どうもヘンだ」と感じながら、警察に通報した。
数日後、真相が判明した。メールの送り主は、なんと12歳の少年だったのである。
少年は、「なにか文句を言えばお金をくれる。ほしいゲームが買える」と考えたようだ。
(了)
● 「ネット炎上」に過敏にならなくていい
「ネットに流すぞ!」「ツイッターに投稿する!」「SNSで拡散する!」というフレーズはクレーマーの常套句ですが、いまではインスタグラムまで、すそ野を広げています。
もう1つの事例を紹介しましょう。
-------飲食店の事例--------
ある飲食店のサイトに、1枚の画像が送られてきた。きれいに盛りつけられた料理の脇に、なにか「黒いもの」が映っている。
「これ、なかなかインスタ映えするでしょ」
こんなコメント付きで、異物混入の「証拠写真」として投稿されたのである。
しかし、そこに何が映っているのかは、はっきりしない。単なる嫌がらせなのか、それとも正当なクレームなのか、わからない。
「もし、こんな画像がネットで拡散したら……」オーナーシェフは、投稿者の卑劣なやり方に憤りながらも、大きな不安を抱えることになった。
(了)
異物混入や接客態度によるトラブルなど、企業の不祥事をSNS上で広めようとする「ネット告発」が増えています。それが拡散されれば、「ネット炎上」となり、企業は甚大なダメージを受けます。
一般的に、こうしたクレームはツイッターなどに投稿され、「拡散希望」という文言を添えていることが多いようです。「ビラをまくぞ!」は、かつての悪質クレーマーがよくつかった脅し文句ですが、その「ビラまき」と同じようなものです。
ただ、ビラまきとは異なり、ワンクリックで、場合によっては数百万人に拡散させることができるので、脅威の大きさは比べものになりません。しかも、企業が「誰でもやろうと思えば、簡単にできる」ネット告発をすべて監視することは、ほぼ不可能です。
しかし、ネットでの拡散や炎上に過敏になるのは賢明ではありません。
対面や電話での場合と同様に、クレーム対応の手順をきちんと踏めば、ほとんどは収束するのです。「風評が流れるリスク」を心配する向きも多いでしょうが、やみくもに対抗策を講じようとすると、クレーム担当者のストレスはさらに増大します。
● 「ネット社会」を味方につける
むしろ、ネット炎上を防ぐ方法としては、ネット上に「ファン」をつくっておくことを検討すべきでしょう。なぜなら、彼らが炎上を「消火」をしてくれることがあるからです。
たとえば、異物混入を訴えるネット情報(デマ)が流れたとき、「黒く見えるのは、黒胡椒。それが塊になったものでしょう。成分表示を見ればわかる」などという書き込みが期待できるかもしれません。
事実、カップ麺にゴキブリが混入した事件では、企業を擁護するネット上の声もたくさんありました。結局、ネット炎上を消火するまでには至りませんでしたが、企業ブランドの回復には一役買っています。
では、ネット上にファンをつくるには、どうすればいいのでしょうか?
もちろん、商品やサービスの品質を向上させることが基本ですが、そのうえで、SNSを通じた消費者との「対話」を積極的にすることです。たとえば、ツイッターやフェイスブックなどで公式アカウントをもち、消費者との直接的なコミュニケーションを図ってもいいでしょう。
すでに多くの企業が顧客満足向上の一環として始めていますが、ネット上で顧客との良好な関係を築くことは、クレーム対策としても有効になる場合があるのです。
かつて、クレーマーは「録音しますよ」というセリフで担当者に脅しをかけることがありましたが、いまでは「録音する」ことはクレーム担当者の必須テクニックです。また、スマホで動画を撮影することが、モンスタークレーマーへの抑止力になることもあります。
『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、最新のクレーム事例を40以上紹介しながら、対面・メール・電話あらゆる場面における正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法、高齢化に伴い増加している「シルバーモンスター」の実態と対策など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。
ぜひ、現場で使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。
(参考記事)
「半殺しだよ」→「怖いです」
「SNSで拡散するぞ」→「困りましたね」
究極のクレーム対応“K言葉”の活用術
援川聡(えんかわ・さとる)
(株)エンゴシステム代表取締役
1956年広島県生まれ。79年大阪府警察官を拝命。95年に大手流通業(株)マイカルに就職。元刑事の経験を生かし、トラブルやハードクレームの対応にあたる。適切で確実な解決術は高い評価を受け、業界団体の講師を務めるなど悪質クレーム処理の専門家として認知される。2002年、「困難なクレームを解決し、企業の危機管理を援護する」をモットーに(株)エンゴシステムを設立。豊富な現場経験と独自のノウハウをもとにリアルタイムで企業、医療機関、役所等をサポート。常に十数社と顧問契約を結び、これまでアドバイスした件数は5000を超える。講演・セミナー講師を年間100回以上務めるほか、新聞・雑誌への寄稿、NHK「ニュースウオッチ9」、日本テレビ系「news every.」、フジテレビ系「プライムニュースイブニング」などテレビ出演も多数。
著書に『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』、『クレーム処理のプロが教える 断る技術』(幻冬舎)、『超プロがついに明かす クレーマーの急所はここだ! どんな問題もすべて解決! 』(大和出版)などがある。
引用元
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181227-00189144-diamond-bus_all
クレーマーのレベルが上って来ましたね。今までだったら、クレーム付けて、違う商品がくる感じで終わってましたが、いまやネットが復旧しており拡散されると、お店にも大ダメージが食らってしまいますね。
クレーマーも賢いのかもしれませんが、人間性を疑いますね。