梅酒や梅シロップを自分で作れる梅体験専門店「蝶矢」が盛況だ。同店は、国内梅酒最大手のチョーヤ梅酒が2018年4月、京都市内にオープンした。11時の開店から営業終了の19時まで連日満席で、ほぼ2週間先まで予約で埋まる。
店舗は10坪で6席と小規模ながら、月商で500万円を売り上げる。初年度の年商は計画の1.7倍の6000万円になる見込みだ。
「予想以上に反響があり、オープン直後から入店待ちの列ができたので、予約サイトを急いで立ち上げた」と同社蝶矢事業の責任者で、製造部生産効率推進課の菅健太郎課長は語る。
■SNSへの投稿まで一貫してデザイン
同社は、スーパーなどでの梅酒販売が中心で、直営店の出店はこれが初めて。不慣れな店舗運営に乗り出した背景には、消費者の梅離れがある。かつては、一般家庭でも梅の実を購入し、梅干しや梅酒、梅シロップなどを手作りしていた。しかし、最近はそうした家庭が減り、梅消費量が低下。生産者の減少などの問題を招いていた。
国産梅を原料とする同社にとって、こうした状況を放置しておけない。そこで、梅の消費を喚起するため、国産梅を使って梅酒などを手作りできる場を立ち上げることにした。
蝶矢がこれだけ人気を集める大きな理由は、梅を漬けるという体験そのものを、若者が魅力を感じるスタイルにデザインし直したことにある。
従来は、容量4リットルで赤い蓋の漬け込み瓶に、梅の実を1kg、砂糖を1kg入れるのが普通。しかし、これでは量が多過ぎて、1人暮らしの若者などでは使い切れない。蝶矢では、梅1粒から漬けられる専用瓶をサイズ違いで3種類用意した。