年間約20億円の役員報酬のうち、有価証券報告書(以下、「有報」)で開示するのは約10億円にとどめ、残りの約10億円を退任後に受け取る──。そんな“筋”を書いた東京地検特捜部の取り調べに対し、日産自動車会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、容疑を否認。“報酬隠し”を巡る全面対決が続いている。

事件の“舞台”となった有報は、「企業の身上書」といえる。この報告書をもとに投資家は企業の経営状況を把握し、経営者の手腕を測る。当然、その内容に偽りや誤魔化しがあれば、厳しく罰せられる。

金融庁は、上場企業に対し、1億円以上の報酬を受け取っている役員の氏名と報酬額の開示を義務づけている。

だが、そのランキングが、日本の経営者たちの“懐具合”の実態を正確に表わしているわけではない。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏が解説する。

「役員の多くが自社の株を所有しており、有報で開示される役員報酬とは別に、毎年株の配当を受け取っている場合が多い。高額な役員報酬ばかり見ていても、経営者たちの本当の収入は見えてきません。『配当額』を加えると、ランキングの顔ぶれは様変わりするのです」

週刊ポストは、東京商工リサーチの協力をもとに「役員報酬+株主配当」の額を算出。日本の企業トップの「本当の年収ランキング」を作成した。

また、ゴーン容疑者の事件を機に経営者の報酬の“世界基準”にも注目が集まったが、『米国会社四季報 2018春夏号』によると、米国企業の2016年決算の役員報酬トップは、映画制作、テーマパーク運営などを行なうウォルト・ディズニーのCEO、ロバート・アイガー氏で約26億円だった。2位は大手メディア・コムキャストCEOのブライアン・ロバーツ氏で約19億7000万円だ。

金額だけを見ると、日本企業の相場と変わらないようにも感じる。

一方で、長らく「世界一の金持ち」の座にいたマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、配当で毎年300億~400億円を受け取っていたとも言われており、海の向こうでも「配当」が大きな意味を持っていることがわかる。

「海外では先行して日本と同じことが起きていますが、役員報酬を抑え、代わりに多額の配当を受け取ることは、決して“本当の収入”を隠しているということではありません。

経営者として業績を上げ、企業価値を高めれば配当額が増えます。一方、業績が悪ければ配当はゼロになる。業績次第で得られる金が変わるのだから、企業の経営に対する“究極の出来高払い”だとも言えるのです」(前出・坂田氏)

今回のランキングでは、各企業の経常利益も調査した。大規模な投資を行なったなどの理由で、前期比でマイナスとなっている企業もあるが、経営者の配当が適切かどうかを判断する指標の1つではあるだろう。

総力取材で浮かびあがった日本の企業トップたちの「本当の年収」は、経営者たちの「本当の力量」を示しているのかもしれない。

 

引用元

https://news.nifty.com/article/economy/postseven/12180-155354/

業績の出来高制ってかなり面白いですよね。

ただリスクもでかいですが楽しそうですね。

 

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