三流上司は飲みに行かず、二流は「社外の人」と飲む では一流は?

働き方改革が叫ばれている昨今、「飲みニケ―ション」は敬遠される傾向にある。しかし、株式会社武蔵野(以下、武蔵野)を17年連続増収の優良企業に育て上げた、同社代表取締役社長の小山昇氏は、「わが社は、お酒が飲めない人は採用しない」と言い切る。社員の反感を買いかねない発言だが、小山氏は「わが社の一体感は、自衛隊にも、警察にも、負けない自信がある」と胸を張る。一見、時代に逆行した経営理念にも関わらず、なぜ武蔵野の社員は結束力があるのか? 小山氏に「人を動かすコツ」を聞いた。

武蔵野 代表取締役社長 小山昇

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株式会社武蔵野 代表取締役社長 小山昇氏

お酒が飲めない人は、採用しない

わが社の新卒採用では、新卒選考の過程で、「武蔵野トリビア」(全 10問の質問に「はい」「いいえ」で答えてもらう)にチャレンジしていただきます。会社説明会に参加した学生であれば、とても簡単な質問です。トリビアの1問目には、次のように書かれてあります。

飲みニケーション。課長以上毎月25,000円の飲み会手当がつく。
飲めなくても、もちろん大丈夫! 雰囲気が好きならば!
イッキもコールもありません! お酒は好きですか?

「はい」「いいえ」

会社の文化を知ってもらう「トリビア」の1問目に「お酒は好きですか?」と質問する会社は、世界中で武蔵野だけだと思います(笑)。会社説明会で、事前に「お酒が飲めない、あるいは、お酒を飲みに行くのが好きじゃない男性は、採用しません」と明言しています。

飲み会は、会社を強くするコミュニケーションツール

 わが社は、「お酒が飲めること」を重視しています。なぜなら、「よく飲む人ほど、よく出世する」からです。私が武蔵野の社長に就任したころの「部長昇格試験」は、「1時間で42度の焼酎1本を2人で空ける」です。しかもロックで(笑)。できれば部長。できなければ昇格見送りでした。

お酒が飲めれば、バカなことも言えて、部下と本音のコミュニケーションがとれる。上司と部下のコミュニケーションがよいと、部下も成長します。

コミュニケーションの原点は、人と人が顔を突き合わせて会話をすることです。飲食は心を和ませ、人はよく話すようになり、情報を多く仕入れることができます。相互理解が高い人とそうではない人なら、「相互理解が高い人」のほうが仕事において差が出るのは、言うまでもないことです。

なぜ飲み会が公式行事なのか

一流の上司は、「社員」との飲み会を公式行事にする
普通の上司は、「外部の人」とお酒を飲むのが好き
三流の上司は、飲みに行かない

飲み会の多くは、すべて公式行事です。武蔵野のコミュニティ、風通しのよさはここから生まれてきます。コミュニケーションは回数ですから、上司と部下の面談は、「半期に1時間」よりも、「毎月10分を6回」やったほうがコミュニケーションはよくなります。また、「飲み会」も、年に1、2回、一緒に飲んだくらいでは親睦は深まらないから、「毎月飲む」のがわが社の基本です。

武蔵野ほど、社員がよく集まって飲む会社は少ないと思います。とにもかくにも、お酒がある。1か月に10回以上飲みに行くことも、よくある話です。だから、武蔵野には忘年会がない。毎月末が年末のようなものだから、わざわざ忘年会を開く必要がありません。私は、65歳まで社員との「公式な飲み会」だけで、年間66日、実施していました。「公式」は、あらかじめスケジュールを社員全員に公開している飲み会です。「今日、飲みにでも行くか!」という突発的なものは含みません。

社長(上司)と部下が一緒にお酒を飲むのは、大事なことです。「たかが飲み会」と軽んじる人もいるかもしれませんが、少人数の中小企業にとっては、社員の結束が大切です。飲み会は、結束力や団結力を強くする重要なコミュニケーションツールです。お酒を飲むと、固定観念が崩れて、人と人の垣根が低くなります。だから社員の本音を聞くことができます。

ところが、業績の悪い会社の社長は、自社の社員とは飲みに行きません。「○○会の集まりだ」「社長同士の付き合いだ」と言って、社外の人間ばかりと付き合っている。コミュニケーションをとらなければならないのは、社外ではなく、「自社の社員」です。

多くの社長にとって懇親会の費用は福利厚生費ですが、私の考え方は、「教育研修費」です。武蔵野は、社員に支給する懇親会の費用が、年間約2500万円。わが社の結束力は、お酒代に比例して、強くなっています(笑)。

一流の上司は、飲み会は「教育研修費」と考える
普通の上司は、飲み会は「福利厚生費」と考える
三流の上司は、飲み会は「社員の自腹」と考える

上司と部下が共に相手のことを学ぶから、社内の雰囲気がよくなる

私は、「飲み会」を教育の一環と考えています。

私たちが、居酒屋、バー、スナックの常連客になるのは「居心地がいい」からです。では、どうして居心地がいいのですか?

それは、店主とお客さまが、お互いに「学習するから」です。「あのお客さまは、このお酒が好きだ」「あのお客さまは、よく、こういう話をする」と店主はお客さまのことを学ぶ。一方でお客さまは、「このお店には、○○というお酒がある」「この店主は、余計なことを聞いてこない」など、店主のことを学ぶ。こうして、ともに、「相手のことをよく知る」から、居心地がいいわけです。 

 会社も同じです。社内の居心地をよくするには、上司と部下が「相手のことを学習する」必要がある。その学習の場が、「飲み会」です。 

 ただし、お酒の飲みすぎは不摂生の原因になるため、武蔵野は、「二次会・三次会をやってはいけない日」を決めています。「三次会をやってはいけない日」に三次会をした場合は、反省文(始末書)を提出する決まりです。 

人間心理を無視して人を動かすことはできない

 さて、次のどちらのリーダーに部下はついていきたくなるでしょう? 

A.飲み会で自分自身の成果を参加者に披露するリーダー
B.飲み会で部下のことを褒めるリーダー

 普通の会社の飲み会が楽しくない理由は、おもに2つあります。1つは、「職責上位の社員から話をはじめること」です。職責上位の話は、どうしても「お説教」になりがちで、部下は、適当に相槌を打つだけです。2つめの理由は、「座る場所(席)を自由にしていること」です。好きな場所に座らせると、親しい者同士が固まりやすい。これだと、輪の中に入れない社員は、いつも疎外感を覚えます。 

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『人を動かしたいなら、「やれ」と言ってはいけない』

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 武蔵野には、グループ懇親会という飲み会があります。この飲み会では、「チェックイン」といって、はじめに、参加者が1人1分で話をするのが決まりです。ただし、「1分過ぎると、1,000円、懇親会に寄付する」ルールです。 

 以前、グループ懇親会に参加したダスキンの統括本部長、市倉裕二は、課長時代最初から3,000円を握りしめていたことがありました。最初から寄付金を払う前提で、1分以上、市倉が話したかった内容とは、何だと思いますか? 

 それは、「自分の部下を自慢すること」です。寄付金を払ってまで、部下を自慢する上司を見て、彼の部下は、「頑張ろう」と思います。 

 「1,000円払うのは損」と思っている社員は、出世しない。この場は、「私の部下はこんなに頑張っている」と、社長に認めさせる千載一遇のチャンスです。 

 反対に、「自分の自慢」しかしない上司に、部下は心を開きません。部下が一番嫌がるのは、「社長や役職者が自説を語ること」です。聞きたくないことを延々と語られる飲み会なんて、2時間もいたら苦痛以外の何ものでもない。ある意味、拷問です。 

一流の上司は、飲み会で、参加者全員に話をさせる
普通の上司は、飲み会で、お説教をしたがる
三流の上司は、飲み会で、自分だけ話したがる

 社員に動いてもらうためには、仕組みもルールも大事です。でも、その根底にあるのは、社長やリーダーが「人の心」をつかんでいるのか、その仕組みが人の心に添った運用をされているかです。「面倒なことはやらない。都合の悪いことはやらない」のがまともな社員です。でもそれは、褒め方だったり、コミュニケーションのとり方だったり、上司の努力で変わっていくものです。 

 人を動かすには「心理」が大事です。人の心理がわかるかで差が出ます。人の上に立つ人にとって、「鈍感」は「犯罪」です。「鈍感」と一度でも言われたことがあるあなたは、ぜひ拙著『人を動かしたいなら、「やれ」と言ってはいけない』をご覧いただければと思います。

引用元
この記事読んでみて納得する部分が多く、確かにと思ってしまうことが多かったので実践してみたいと思います。
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