日産にとって久しぶりに売れそうな「テラ」に注目

インドネシアをはじめとするアジアでのダットサンブランドの凋落はコラムに書いた通り。今回は日産ブランドのお話です。

実は日産車は売れるモデルがまったくなく、インドネシアの世間からは忘れられた存在。どのくらい売れていないか? 2017年のインドネシアの自動車販売は108万台あったのですが、日産車は1万4000台、廉価ブランドのダットサンが1万台ちょっとと、2ブランド合わせて2.3%と、やる気が感じられない状態です。あまりにも売れるクルマがないので、売れに売れている「三菱 エクスパンダー」のOEMを狙っているという噂まで出るありさま。

そんな日産からようやく、これは売れるかもしれない! と思わせるクルマがデビューしました。アジアをはじめ世界中で発売されることになる「テラ(Terra)」というSUVです。ガイキンド・インドネシア・インターナショナル・オートショー(GIIAS)の日産ブースで一般来場者を観察しても、久しぶりにいろいろと見たくなる日産車だと思われているような印象を受けました。

価格帯も、人気SUVの「ミツビシ パジェロ スポーツ」「トヨタ フォーチュナー」とほぼ近いのでいい勝負をしそうです。ちなみに価格は、2.5L FR MTの4億6000万ルピア (約350万円)から2.5L 4WD ATの6億7000万ルピア(約500万円)まで。売れ筋は恐らく2.5L FF ATの5億2000万ルピア(約400万円)でしょう。弱点は販売店が少ないのと、リセールバリューが未知数なこと。クルマもバイクも耐久消費財ではなく、資産として考えるインドネシアでは、リセールバリューの高さと即時換金性がまだまだ重視されているからです。

 

日産はブランディングやヘリテージがわかっていない

そんなテラを眺めつつ、ふと思いました。これは往年の「ダットサントラック」の再来かもしれない、と。あのころはピックアップにカロセリ(※)してSUV風に仕立てて乗っていましたが、時を経て豊かになり、サイズも大きくなり、ボディもメーカー純正になった、ある意味で正統派の後継モデルじゃないかと。もしかしたら来場者も無意識にそれを感じているかもしれません。あれから40年と言えば、その頃の少年がテラを買えるくらいの大人になっているころです。

※カロセリ
メーカーから出荷されるシャシーの上にボディを架装し、乗用車のように仕立てること。いわゆるカロッツェリアです。ダットサントラックの場合、鉄製のボディを作り、3列シートSUV風に仕立てたクルマで、インドネシアでは乗用車として多くの人に愛されました。

そんなことを思いながら日産ブースの奥にあった「SUVヘリテージ」のコーナーを見て、思わず「それちゃうやん!」と声を上げてしまいました。そこに展示するべきは、大して売れなかった「テラノ」でも、インドネシアでは売ったことがない「パトロール」でもなく(パトロールという名前の別のモデルを売っていたことはあった)、ダットサントラックのはずです。それもSUV風にカロセリした。

もはや今売っているダットサンはリセットして、今の日産車を売るためのヘリテージとして、過去のダットサンモデルを使うべきでしょう。日産はブランドの使い方が根本的にわかってないと思います。

すみません、日本の皆さんには関係ない話を延々としてしまいました。会社の業績を見ると日産がやってることは間違っていないんでしょうけど、クルマ好きとしては魅力的な日産車を見たい。そう思っている往年の日産ファンは多いんじゃないでしょうか?

「今の若者にもっとクルマを買ってもらいたい」と、多くのメーカーが苦労している昨今、若者が真剣に買いたくなるクルマこそ、本気で開発するべきです。日産はそれができると僕は思っています。そしてそれをダットサンブランドで出してほしい。西部警察(ガルウイング仕様のフェアレディZをはじめ、日産車が活躍した日産協賛の刑事ドラマ)のように、伝説になるようなプロモーション・ドラマを作るのもいいかもしれません。

「もうちょっとしたら自動運転の時代が来るんでしょ?」なんて言ってる場合ではありません。アセアンウォッチャーの自分としても、「日産はどこに?」という寂しすぎる状況からなんとか脱してもらいたい。日産さん、若者が、日本人が、アジア人が欲しくなるクルマを作りませんか?

https://carview.yahoo.co.jp/article/column/20180912-20104275-carview/2/

 

日産と言ったらGTR。

GTRのようにかっこいいSUVがあると嬉しいです。

 

おすすめの記事