今、日本の企業の多くが人員不足に悩んでいると言われています。その原因の一つが「内定辞退」。一体なぜこのような状況になるまで対策をしてこなかったのでしょうか。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者にして米国育ちの元ANA国際線CA、元お天気キャスターという健康社会学者の河合薫さんは、「日本は若者の雇用問題に関して後進国レベル」とした上で、今すぐにでも変えていくべき政府・企業側の反省点を指摘しています。

 

ニッポンは若者の雇用問題後進国!?

内定辞退率過去最高の64.6%(10月時点)」ーー。

昨日、ネットを中心にかなり話題になっていましたが、「ナニを今さら慌ててるねん!」と秒速で私の脳内のサルは反応。一方で、大手メディアは相変わらずの反応を繰り返しました。

「空前の売り手市場」、「企業は特に中小の新卒確保が一段と厳しくなっている」、「企業が例年より内定を多めに出した結果、2社以上から内定を得た学生が増え、辞退率が上がった」(by リクルートキャリア)、「複数の内定を得た人が企業を絞った」、「1社だけの人が入社を望まず内定を断って就活を続けたりして起きたとみられる」
……etc etc

 

いったいこの国の“メディア人”は、いつまで思考停止を繰り返すのか。

誰かひとり(あるいは一社)くらい、「そりゃあそうなるでしょ? 今までな~んにも対策してこなかったんだからさ」と就活のあり方に苦言を呈して欲しかったです。

 

オワハラ=就活終われハラスメントは、企業が内々定を出した学生に対し、以降の就職活動を終えるよう働きかけたり、

  • 内定辞退したら、採用にかかった費用1000万円を請求すると脅された
  • 就活を続けていると明かした途端、約2時間電話口で説教され結局内々定を取り消された
  • 内定の条件として誓約書へのサインを求められた
  • 頻繁に会社の関係者や内定者を交えた食事会や会社のイベントに参加させられ、辞退しにくい関係作りをされる

……といった行為が報じられ、私自身が学生から直接聞いたものでは、

  • 内定先から親にお中元が届いた
  • 頻繁に内定先から、メールや電話があった
  • 親の意思確認を求められた

などがありました。

 

社会問題になったことで文科省が調査を実施。

その結果、68.3%の大学・短期大学がオワハラに関する相談を受けた」と回答。

一方、「ハラスメントをされた」という学生は5.8%

大学側の回答との齟齬が気になりますが、こちらに詳しくは出ていますのでご興味のある方はどうぞご覧下さい。

いずれにせよ、バブル期には合宿という名目で“監禁”されたり、ディズニーランドや高級レストランに連れて行かれたりして特別扱いされた“内定者”はいたし、就職氷河期が去り、内定バブルに湧いた2007年にも同じ様な囲い込みはあった。

 

だって、人事部が自分たちに課せられた数値目標を達成するには、しかたがありません。

内定辞退者が相次げば「なんでこんなに少ないんだ?」と言われ、「なんでこんなすぐにやめるのばかり採った」だの「もっと優秀な学生を確保しろ!」だの、上は言いたい放題です。

いつの時代も、人事の人は上司から「無能扱い」されないように、“優秀な人材を競合他社に奪われないようにするための策として、オワハラを実行したのです。

私は2007年の内定バブル期に、新卒採用の人事部のヒアリング調査をしたのですが、その頃もっぱら行われていたのが、“白い嘘による人集めでした。

白い嘘とは、大切なことを故意に語らない態度のこと。企業は伝えるべき大切な厳しい内容にあえて触れずいいことばかりを並び立て人材確保に精を出していました。

「いいことしか聞いてないと、せっかく入社してもすぐに辞めちゃうリスクはあるんですけど…」と懸念する声もありましたが、「母数が多けりゃなんとかなる、競合他社に採られるよりマシ」ーー、こう彼らは目先の“幸せ”にすがりついた。

もし、2007年の時点で「内定辞退者を減らす工夫」をとことん考えれば、オワハラが問題になることも、「内定者過去最高の6割」なんてこともおきなかった。

ところが、“運良く”リーマンショックで売り手から買い手市場に転じ、内定式前夜に「空席があったらどうしよう」とドキドキすることも、「就活を終わらせることを条件に内定を出す」と学生を脅す必要もなくなりせっかくの思考するチャンスを放棄したのです。

 

あまり知られていないのですが、日本は若者の雇用問題後進国

2004年にやっと厚生労働省に「若者雇用問題対策室」なるものが設置されましたが、欧米では1970年代から若者の雇用対策を進めてきました。

ところが同時期の日本は高度経済成長期で、終身雇用、年功序列、新卒一括採用が定着。

若年層がスムーズに労働市場に参入できる仕組みが出来あがっていました。

 

1990年代に入ってからは、「フリーター」問題が浮上しましたが、そのときも若者の雇用問題としてではなく「若者の甘え」として処理されてきました。

しかも、いまだに先進国の中で若年層の失業率が低いため、真剣に議論されているとは言い難い状況にあります。

まるで“国葬のように全員が真っ黒の洋服に身を包み、とりあえずネットでエントリーし、最後は企業のブランドで行き先を決め3年もたたず3割が辞めるーー。

この不毛な就活合戦こそ改めるべき。大学が就職予備校化しているという問題もあるし、若者雇用は問題山積なのです。

 

https://www.mag2.com/p/news/330760

確かに離職率問題は大いにあるのが現状ですが、離職率が高い会社にも問題があるのと、今の社会自体一つの会社に年中年働くといって考え方は少し古くなって来たのではないでしょうか。

 

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